社会保険は会社の義務。加入後の社会保険料は会社と従業員が折半して支払う、ということをご存知の方は多いと思います。では実際に従業員を雇うと会社の負担分はどれくらい増えるのでしょうか。健康保険・厚生年金・雇用保険・労働保険それぞれについてシミュレーションしていきたいと思います。
香川県の社会保険料の算出方法は?
健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料
ここでは一般的に加入する協会けんぽ(全国健康保険協会)の保険料率を用いてシミュレーションしたいと思います。協会けんぽの健康保険料は都道府県ごとに定められており、HPから確認することができます。同様に厚生年金保険料も同じ表を用いて算出することができます。(参考:全国健康保険協会「平成29年保険料額表」)
通常であれば毎月事業主が年金事務所へ納付する必要があり、その際には労使合算の健康保険料・厚生年金保険料に加え、事業主のみが負担する子ども子育て拠出金(0.23%)も合算されています。介護保険第2号被保険者にあたる40歳から64歳までに該当するときにはさらに介護保険料も労使それぞれが負担することになります。(介護保険については特に加入の手続き等は必要なく、40歳に到達する月より自動加入することとなり、保険料もその月より発生します。)
協会けんぽHPより一部を抜粋
■ 例 30歳・飲食店勤務・給与月額30万の場合
なお、従業員負担分の健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は当月分の保険料を翌月分の給与から徴収することが基本です。従業員を雇用したときに年金事務所に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出すると、会社宛てに「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」が届きますので、決定された標準報酬月額に基づいて、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料を控除するようにしてください。
雇用保険料
次に雇用保険料はどのように計算するのでしょうか。雇用保険料の算出方法は厚生労働省のHPに記載されています。(参考:厚生労働省「雇用保険料率について」)
2017年度の場合、一般の事業であれば、従業員負担は給与の3/1000、事業主負担は6/1000となっています。
従業員負担分の雇用保険料は、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料と違い、当月分を当月分の給与から徴収しますので徴収漏れがないよう注意しておきましょう。
労災保険料
最後に労災保険料。労災保険は業種によって料率が定められており、おなじく厚生労働省のHPで確認できます。(参考:厚生労働省「労働保険料の申告・納付」)
例えば飲食業であれば 表の「98 卸売業・小売業、飲食店または宿泊業」にあたりますので3.5/1000が保険料率となります。労災保険料は事業主のみが負担し、毎年7月10までに当年分の確定保険料と翌年分の雇用保険料、労災保険料を合算して概算保険料を算定し、納付を行います。
なお、労災保険料は全額雇用主負担となり、従業員の負担はありません。
算定には厚生労働省が提供しているExcelツールが便利なので参考までにリンクを貼っておきます。(参考:厚生労働省「労働保険関係各種様式」※Excelツールはページ下部にある年度更新申告書計算支援ツールからダウンロードできます。)
社会保険料の会社負担は給与の約15%
では実際に会社の社会保険料はどれくらいになるか、具体例を使って確認してみましょう。
■ 例 30歳・飲食店勤務・給与月額30万円
東京都在住 | 香川県在住 | |||
会社負担 | 本人負担 | 会社負担 | 本人負担 | |
健康保険料 | 14,865 | 14,865 | 15,360 | 15,360 |
厚生年金保険料 | 27,450 | 27,450 | 27,450 | 27,450 |
子ども・子育て拠出金 | 690 | - | 690 | - |
雇用保険料 | 1,800 | 900 | 1,800 | 900 |
労災保険料 | 1,050 | - | 1,050 | - |
合計 | 45,855 | 43,215 | 46,350 | 43,710 |
上の表を基に会社負担分をそれぞれ給与額の30万円で割ってみると、東京都では0.152、香川県では0.154となり、給与額に対して約15%の会社負担があるということがわかるかと思います。ここに介護保険料が加わると会社負担はさらに大きくなります。特に毎月納付を行う健康保険・厚生年金保険料は、経営状態によっては会社の負担が大きく結果的に未納になってしまう、というケースもあるようです。
しかし経営者にとって、従業員を守るためでもあり、人材を確保するものでもある社会保険は避けては通れないことも事実です。
まとめ
いかがでしたか?
事業計画や資金繰りを考える中で社会保険料は考慮しなければいけない必要経費。
毎月の給与だけでなく、実際のキャッシュアウトがどれくらいの金額になるのかしっかりとシミュレーションしておくこととおすすめします。