会社設立時に必ず定める必要があるのが、会社の定款。しかし会社の定款を作成するためには、専門的な知識が必要になったり、とっつきにくいイメージが持たれがちなため、作成に手間取る方が多いのではないでしょうか。
ここでは、会社設立時に知っておきたい定款の作り方を解説していきたいと思います。
定款ってどんなもの？
そもそも定款とは、会社の根本原則が記載されたもので、「会社の憲法」とも呼ばれます。この定款は作成した後に、公証役場にて「認証」という作業が必要になり、記載項目が抜けていたり、不備があったりすると、やり直さなければいけなくなってしまいます。そのため、会社設立の際には、丁寧に確認しながら定款の作成を進めていく必要があります。しかしコツさえつかめればきちんと作成できますのでご安心を。しっかりとひとつひとつ確認していきましょう。
定款に記載するものとは
定款の記載事項は大きく分けて3種類。
✓ 絶対的記載事項
✓ 相対的記載事項
✓ 任意的記載事項
以下で順番に確認していきましょう。
絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項のこと。絶対的記載事項の記載がなければ、定款全体が無効になってしまい、認証ができません。具体的には以下の6つの項目が絶対的記載事項に当たります。
① 目的
② 商号（会社の名称）
③ 本店所在地
④ 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額（出資金）
⑤ 発起人の氏名又は名称（法人の場合）と住所
⑥ 発行可能株式総数
相対的記載事項
相対的記載事項とは、定款に記載していなくても問題はありませんが、定款に定めがないと効力が認められない事項のことです。具体的には、
✓ 金銭以外の財産による出資（現物出資）
✓ 株式譲渡制限に関する事項、取締役の任期
✓ 株式会社の負担する設立に関する事項
などがあります。
任意的記載事項
任意的記載事項とは、定款に記載がなくても定款自体が無効になるわけではありませんし、定款に記載しなくても効力が認められないわけでもありません。そのため定款以外で定めても効力が発生するので、必ずしも定款に記載する必要はありません。
✓ 事業年度
✓ 役員報酬の決め方
✓ 株式の名義書換手続き
✓ 定時株主総会の開催時期
などがこれにあたります。
定款を作成しよう
定款に記載すべき項目が確認できたら、実際に定款を作成しましょう。
定款のサンプルは
（日本公証人連合会→定款サンプル）
（法務局→法人登記申請書類の中に定款サンプルあり）
に載っていますので、参考にしてみてくださいね。
ひな形には「取締役会設置会社」と「取締役会非設置会社」の2種類がありますが、多くの場合には「取締役会非設置会社」を選択することになるかと思います。
会社設立時の出資者が身内や親族、近しい友人のみの場合には「取締役会設置会社」を選択し、反対に会社設立時に、身内や親族、近しい友人以外からも多く出資を募る場合は「取締役会設置会社」を選択するとよいでしょう。
定款の綴じ方
定款の綴じ方には決まりがあります。綴じ方は2通り。
1つ目は、ホッチキスで綴じ、すべてのページの見開きのつなぎ目に発起人全員の実印で割印をする方法。もうひとつはホッチキスで綴じた後に製本テープなどで背表紙を貼り付ける方法です。表紙、裏表紙の製本テープの継ぎ目に発起人全員の実印で割印をします。
どちらの方法でも構いませんが、製本テープで綴じる方法をおすすめします。枚数が多くなった場合、全ページの見開き部分に割印をするのは少し面倒ですし、製本テープで綴じたほうが見映えもよく耐久性もよくなります。そしてどちらの場合も、綴じ終わったら、最後のページに捨印を。
捨印は必須ではありませんが、受け取った側が誤字などを訂正できるようにあらかじめ押印しておくものですので、万が一訂正が入ったときのことを考えて押しておくのがよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか？とっつきにくい印象のある定款ですが、定款に記載する項目は会社にとって定めておくべき基本的な項目ばかり。ひとつずつ丁寧に確認し、決定していくことが大切です。
当記事が、会社設立時の定款作成の素敵なヒントになれば幸いです。